コルドバ②(2012年10月21日)
******メスキータ******
さて、コルドバ観光のハイライトといえば、100人が100人メスキータと答えるでしょう。
昼食後に向かったのが、そのメスキータです。
メスキータというのは、アラビア語でモスクのことらしいですね。コルドバといえば、かつてイスラム王朝の後ウマイヤ朝の首都として、東のバグダッドを凌ぐほどの賑わいをみせた街です。 その王朝のシンボルタワーとして建設されたのは780年。 その後、王朝の繁栄に歩調を合わせるように拡張を続け、10世紀後半にはほぼ現在の形になったと言われています。 が、それだけならば、このメスキータがこれほど有名になることはなかったかもしれません。 1236年、当時勢力を拡大しつつあったキリスト教国のカスティーリャ王国がコルドバを陥落させます。 約500年ぶりにコルドバの街がキリスト教勢力の手に渡ったわけです。 これがこの街のシンボルタワーであるメスキータにとっても、大きな転機になります。 モスクは教会に転用され、さらにカルロス1世の時代に中心部にカテドラルが建設されることになります。 そのため、このメスキータはイスラム建築とキリスト教式建築が混在する世にも珍しい建築物となったのです。 ところで、その物語には続きがあり、完成したメスキータを見たカルロス1世は 「お前らはどこにもない物を壊し、どこにもあるものを建てた」と嘆いたと言われています。 いったいどれほど素晴らしいものがあったのか、今となっては見ることはできませんが、 見てみたかったところです。 実際、このメスキータはかなり興味深いものでした。 赤と白のストライプ模様には、イスラムの風を感じます。 が、中央の大聖堂にはパイプオルガンがあり、宗教画が掛けられ、荘厳な雰囲気はやはりキリスト教の空間です。 特にこの大聖堂の見事さを見て、カルロス1世の言葉を思い浮かべると、元々ここにどれほど素晴らしいものがあったのか、 想像するだけでもワクワクします。 また、異教徒の建築物でありながら、そうやって賞賛してみせるカルロス1世の度量に感心させられます。 ところで、カルロス1世ですが、彼はハプスブルク家からやってきたスペイン国王です。 いわばハプスブルク・スペイン王家の初代ですが、当時のハプスブルク家はオーストリアからボヘミア(チェコ)、 ハンガリーまで領有する大帝国の皇帝でした。 彼は死後、弟と息子に分割相続させたので、一人でこれだけの領土を支配したのは、彼一代限りでしたが、 いずれにせよ栄光のスペイン帝国を築き上げたのは、まさに彼の治世のことです。 さて、庭に出ると、オレンジの木がたくさん植わっていました。 オレンジというと、なんといってもバレンシア。 やはりスペインの香りを感じますね。
******花の小路******
メスキータからもう少し奥に入ったところにユダヤ人街があります。アンダルシアのユダヤ人街といえば、白壁とその壁に飾られたお花の美しさです。 コルドバのそれは特に美しく、花の小路と称えられています。 さすがに観光客が多いですが、写真の撮り甲斐があるというものです。 ガイドブックによると、スリが出ると書いていましたが、そういった危険を感じることもなく、 散策を楽しむことができました。 ******タパ******
一旦、ホテルに戻ると、部屋にウェルカムフルーツとシャングリラか何かのお酒が用意されていました。
無造作に置いてあったのは、どうかと思いますが、それでもなかなか嬉しいサービスです。ところで、紹介が遅れましたが、泊まったのは、エスペリア・コルドバ("Hesperia Córdoba") というホテルで、2人で1泊€68とリーズナブルな割りに、清潔で雰囲気もよく、相当に気持ちよく 宿泊できました。コルドバに行くなら、お勧めの宿です。 さて、スペインといえば、なんといってもバルです。 ユダヤ人街のあたりのバルに中で、雰囲気の良さそうなところに適当に入って夕食をとりました。 注文するのは、もちろんタパスです。 スペインを旅行する日本人にとって、楽しみの一つは何といってもタパスでしょう。 いろんなものをちょっとずつ、つまめるというのは実にいいですね。 旅行中、とにかくタパスを楽しんだように思います(笑) お店のお兄さんにお勧めを聞いて、頼んだのが写真のお料理。 どれも美味しかったのですが、ここのマッシュルームが最高でした。 その後、別の店で同じようなものを期待して、英語で同じ説明が書いてあるメニューを頼んだのですが、 まったく違うものが出てくるから不思議です。 ともあれ、このメニューは特に妻のお気に入りで、帰ってから真似をして、何度も作ってくれるようになりました。 日本に帰ってからも、スペイン料理を美味しく頂けるわけで、私としては嬉しいかぎりです。 バルからの帰りには、ライトアップされたメスキータを眺めながら帰ることができ、 何やら旅情を盛り上げてくれます。 こうして、スペイン旅行事実上の初日は幕を下ろしたのでした。
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