バンテアイスレイ(2013年05月05日)
******サンライズ鑑賞******
アンコールワット観光の定番。 それは何といっても、アンコールワットでのサンライズ鑑賞でしょう。 日の出に神秘を感じるのは日本人だけかと思っていましたが、意外と外国人もいましたね。 万国共通の感覚なのでしょうか。

ところで私達が泊まったSiddharta Boutigue Hotelは市街地からアンコールワットへ向かう途上にあります。 このことはサンライズ鑑賞渋滞にはまらずに済むという素晴らしい利点になりました。

サンライズ鑑賞 朝早くにトゥクトゥクのお兄さんが迎えに来てくれ、アンコールワットに着いたときには、 既にそれなりの人数が陣取っていましたが、最前線のポジションを押さえることができました。 これもホテルの立地のおかげでしょう。

この時期、アンコールワットに向かって左側の方に陣取ると、アンコールワットのかなり左側のほうから、 朝日が昇ることになってしまうのですが、前方に池が残っているのは左側だけ。 迷ったあげく、池を優先することにしました。 やはり池があってこそのアンコールワットでしょう。

当日の天気は曇り。祈るように待っていると、雲の切れ間から太陽が顔を出しました。 なんとも神秘的!感激です。 朝、頑張って早起きをした甲斐がありました。

******バンテアイ・スレイ******
さて、一旦ホテルに戻って朝食をとり、チェックアウトをした後、向かった先は バンテアイ・スレイです。

東洋のモナリザで有名ですが、それより何よりここの彫刻が素晴らしかったですね。 ただ距離が遠い。トゥクトゥクで1時間ちょっとかかりました。

バンテアイ・スレイの壁画 ここの壁画は神話に基づくものが多く、楽しかったですね。簡単にいくつか紹介しておきましょう。

まずはラーマーヤナ。 東南アジア一帯で広く親しまれている叙事詩です。 ラーマという王子が妃のシータを魔王ラーヴァナに奪われ、シータ奪還のため猿軍の加勢を得て、 魔王と戦う物語です。

どこか桃太郎と似ている気がしないでもないですが、この物語の人気は高く、 特に猿将軍ハヌマーンは、本来登場しないはずの乳海攪拌の壁画にも登場するほどです。 ちなみにラーマ王子はヴィシュヌ神の化身とされ、ラーヴァナ退治のために生まれたとされています。

魔王ラーヴァナは下の壁画にも登場しています。もっともラーマーヤナとは直接関係ない壁画のようです。 インド神話ではよく知られた魔王なのでしょう。20本の腕を持っているのが魔王ラーヴァナです。

魔王ラーヴァナ この絵はシヴァ神の瞑想を邪魔しようと、魔王ラーヴァナが山を揺り動かしている様子です。

地球の歩き方の解説によると、シヴァは阿修羅を倒すために瞑想をしていたとありますが、 魔王ラーヴァナは羅刹の王。シヴァが倒そうとしていたのは、羅刹ではないかと思うのですが、どうでしょう。

また、絵の中にいる象の頭をしているのは、ガネーシャという学問の神です。 この神が象の頭になったエピソードが面白いので、紹介しておきましょう。

実はガネーシャ、元々は象の頭ではなかったのです。母のパールヴァティが入浴の見張りをしていたところ、 父であるシヴァ神が帰宅。が、ガネーシャとシヴァの親子には、どういうわけか互いに面識がなかったんですね。 不審者が入ることは許さん、とガネーシャがシヴァを拒んだところ、シヴァが激怒。 まあ、シヴァはよく怒りますね(笑)

愛の神カーマ 怒り狂ったシヴァはガネーシャの首を刎ねてしまうんですね。 それを知った母のパールヴァティが嘆き悲しみ、シヴァは慌てて象の首をくっつけて、哀れなガネーシャを 復活させたと言われています。いやはや恐ろしい神様ですが、力は絶大です。

ついでにシヴァ神の逸話をもう一つ紹介しておきましょう。 左の壁画の物語です。地球の歩き方のエピソードとは少々違いますが、こちらのほうが面白いので、違う エピソードを紹介しておきます。

ターラカという魔王を倒せるのは、シヴァの息子のみとされていたのですが、最初の妻サティを失った シヴァは瞑想にふけって女性に見向きもしません。そこで派遣されたのが愛の神カーマ でした。その矢に射られると恋に落ちるとされており、サティの転生とされるパールヴァティをシヴァと結ばせよう と図ったのです。

が、瞑想を邪魔されたシヴァは例のごとく激怒します。第三の目から光を発し、カーマを焼き殺してしまうのです。 その後、カーマの決死の努力が実ってか、パールヴァティとシヴァは結ばれ、生まれたスカンダという神によって、 ターラカは退治されます。

が、パールヴァティはカーマが死んだのが自分のせいだと嘆き、そこでシヴァは何とかカーマの魂だけを復活させます。 故に世界に愛が溢れている、とされます。なんと美しいではありませんか。シヴァは怖いですが。。。(笑)

******東洋のモナリザ******
だいぶ話が脱線してしまいました。バンテアイ・スレイ最大のハイライトとされるのが、 東洋のモナリザです。

先に言っておきましょう。これはアンコール遺跡最大のペテンです! 実は、東洋のモナリザを見ることはできないのです。 地球の歩き方に記載の東洋のモナリザの位置を確認して頂ければよいですが、回廊からでは到底見えない 位置に置かれています。

東洋のモナリザもどき

にも関わらず、現地ガイド達は、あれがそうだとばかりにもったいぶって指をさしています。 その一つが左のデバター。確かに美しいですけどね。 日本の大手旅行会社含めて、東洋のモナリザを見ることができるかのような宣伝文句は少々頂けないですね。

東洋のモナリザを見ることができなくても、ここのデバター達は皆美しいです。 それで十分ではないですか。

ちなみに、東洋のモナリザ、フランスの作家アンドレ・マルローが、そのあまりの美しさに魅せられて、 盗み出そうとして逮捕されたことで、一躍有名になったデバターです。

東洋のモナリザを見ることはできなかったにせよ、個人的にはアンコールワットの壁画よりも面白かったですね。 背景にある物語が楽しいからかもしれませんが、その美しさも秀逸でした。

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