アンコールトム①(2013年05月04日)
******アンコールトム南大門******
朝、ホテルで朝食をとると、さっそくアンコールトムへと向かいました。

トゥクトゥクのドライバーは前日に空港まで迎えに来てくれたお兄さん。 口数は少ないけれど、親切なドライバーさんでした。

ホテルの評判に、専属のトゥクトゥクドライバーが絶賛されていたのですが、納得です。 いちいち値段交渉する必要も、チップを払う必要もなく、その上親切なドライバーさん を手配してもらえるというのは、ありがたいことです。

アンコールトム南大門 さて、アンコールトムです。周囲約12kmという広大なこの王城へ向かう観光客が最初にくぐるのが 南大門です。門へ向かう橋には、向かって左側に神々、右側には 阿修羅が並んでいます。

阿修羅は、日本では、「修羅場」といった言葉で有名ですが、古代インドにおいては、神々の 敵として登場します。神々と戦う様が、「修羅場」という言葉を生んだのでしょうね。 カンボジアが古代インドの影響を色濃く受けた跡がここにあるわけです。

ところで、よく眺めていると、神々よりも阿修羅のほうが面白い。 神々の敵たる阿修羅のほうが表情が豊かなのです。なんといっても、愛嬌があります(笑)。

観音菩薩様の四面仏 そういえば、これらの像は、ある有名な神話を表現しているのですが、その神話では阿修羅たちは 神々に一緒に不老不死の薬を作ろうと持ちかけられ、不幸にも神々に騙され、 不老不死の薬を神々に独占される運命を辿るのです。

ちょっと同情したくなるじゃないですか。

いやはや、どう考えても、神々のほうが悪い奴ですが、インド神話に限らず、日本神話でもギリシャ神話でも、 意外に神々は人間臭くって、そういう神々の人間臭さが私は好きだったりします(笑)。 一方、阿修羅は、神々に色々仕掛けるんですが、どうしても上手くいかない、やんちゃ坊主といった感じで、 彼らも愛嬌があって微笑ましいですね。

城門の上に鎮座しているのは、観音菩薩様の四面仏らしく、穏やかな微笑は なかなかに芸術的でした。

******バイヨン******
門をくぐると、いよいよ午前中のハイライトであるバイヨンへ。

バイヨン バイヨンは、王城であるアンコールトムの中心部に建てられた寺院です。 南大門と同じく、観音菩薩様の四面仏が鎮座する塔が、なんと49塔。 中に入ると四方八方から観音様に見られているようです。

ところで、この広大な王城を見ると、アンコールワットという巨大な建造物の近くに さらに大きな建造物を作り上げた、カンボジアの英雄ジャヤヴァルマン7世 の気宇の大きさを感じるような気がしますね。

即位当時、国土は隣国ベトナムのチャンパ軍に蹂躙され、首都は壊滅。 まさに存亡の危機であったクメール王朝の残兵をかき集め、チャンパ軍を追い返すと、 今度は逆にチャンパへ侵攻し、その首都を落とすと、東南アジア全域の覇権を手にする大帝国を 築き上げたのが、このジャヤヴァルマン7世です。

曲芸をする人 ちなみに、このジャヤヴァルマン7世、クメール王朝には珍しい仏教徒で、このアンコールトムも また仏教遺跡となっています。バイヨンに観音菩薩様が並んでいるのもそのためです。

しかし、そう言いながら、ヒンズー教で最も崇拝されている神の一人である ヴィシュヌ神が壁画に登場しています。

実は、ヴィシュヌ神は仏教では毘紐天と呼ばれる神様なのです。 この辺り、仏教とは悟りを開くことを目的とする無神教であるとの固定観念のある私には、 多少混乱するところですが、ヒンズー教も仏教もインドを発祥とする宗教。 どちらもインド古来の神様を多く取り込んでいるらしく、実は有名なヴィシュヌ神 も、ヒンズー教固有の神様ではなく、インド神話に古くから登場する一人なのです。

クメールの微笑み さて、アンコール遺跡の面白さの一つが秀逸な壁画でしょう。 チャンパとの激戦を描いたものもありますが、むしろ庶民の生活の様子を描いたものが面白い。 曲芸をしていたり、ワニに襲われていたりと、なかなか愉快です。

上へと登ると、今度はたくさんの観音菩薩様が出迎えてくれます。 よく見ると、一人ひとりがまったく違う表情をしています。

上の写真は『クメールの微笑み』と称えられる観音菩薩様で、 カンボジアのお札にも印刷されているとのことですが、私と妻のお気に入りは別に あって、二人揃っての写真はそちらで撮りました。 そうやって、お気に入りの観音菩薩様を見つけるのも楽しいですね。

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