明代城壁(2010年7月18日)
******碑林骨董品市場******
この日は、夜明け前に目が覚めた。
イングランド人の女の子が出発の準備をしていたので、聞くと朝一番の列車に乗る予定だという。
この子は、オーストラリアに住むおばさんを訪ねがてら、中国を旅し、徐々に南下しながら
ベトナムを通って、数ヶ月くらいかけてオーストラリアまでたどり着こうとしているとか。
つくづく欧米人はたくましい。というか、うらやましい。 ユースホステルの旅とはいえ、普通の学生はそんなに資金が続かないと思うが。。。 ちなみに、日本もいいところですよ、というと、物価が高いと言われてしまった。
さて、この日の朝は曇り空とはいえ、雨ではない。 散歩日和である。 南門近くの骨董品市場を散策することにした。 この辺りのお店は、鼓楼付近のお店と違って、おとなしいので、ゆっくり見てまわることができる。 何か買うつもりなら、この辺りを冷やかしてみるのも手かもしれない。
******明代城壁******
さて、西安には、兵馬俑の他にもう一つ吊物がある。
明代城壁である。
いや、私が勝手にそう思っているだけかもしれないが。というのも、中国でこれだけの規模の城壁が残っているのは西安だけだというのである。 周囲約14kmの城壁がほぼ完全な形で残っている。
さて、市街地をぐるりと囲んだ城壁を一周しない手はない。 といっても、1週14km。 とても歩いて回れる距離じゃない。 いや、歩けるんだが、私はそんなに時間に余裕がある旅人ではない。 そういう私にとって嬉しいのが、レンタサイクル。 100分で20元(約300円)で、一周するのにちょうどよい時間である。 但し、デポジットとして、100元かパスポートを預ける必要がある。 ちなみに二人乗り用の自転車もあって、これは二人でこげるようになっている、 ちょっと面白い乗り物である。 すごくローカルなことを言えば、関西サイクルスポーツセンターにあるような 自転車である(笑)。
******春望******
さて、長安を聞けば、大唐帝国であり、その時代を代表する詩人といえば、
何と言っても杜甫である。
詩聖と敬愛されるその人の詩の中で、日本人がもっとも好きな詩は
『春望』だろう。唐の全盛期、玄宗皇帝の時代。 絶世の美女の楊貴妃に溺れた皇帝に対し、安禄山という将軍が反乱を起こします。 反乱軍の勢いは凄まじく、首都長安も陥落。 その際に、杜甫は反乱軍に捕まってしまいます。 あぁ、国が破れてしまったけれども、山河は変わらないなぁ、と詠ったのがこの詩。 私は城壁の上から、山河を眺めて詠ったと想像したい。
国破れて山河在り
官僚として、国に役立とうと志したした杜甫の嘆きが伝わってくるではないですか。 城壁の外側は変わらないのに、その内側はこんなに変わってしまった。 あぁ、理想の政治に燃えた私の志をどうすればよいのだろうか。 我々日本人がこの詩を好むのは、平家物語を好むのと、同じ理由じゃないだろうかと思う。 栄華必衰、諸行無常、である。 ちなみの杜甫はその後脱出に成功して、玄宗皇帝のあとを継いだ粛宗の元に駆けつけますが、 粛宗の怒りをかって左遷され、失意のうちに官を去ることになります。 決して恵まれた人生を送ったわけではないことも、杜甫が好まれる理由かもしれませんね。
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