******世界遺産のレジデンツ******
ノイシュヴァンシュタイン城を巡って、デュッセルドルフへ戻る途中、休憩がてら寄った街が
ヴュルツブルクです。
ノイシュヴァンシュタイン城の辺りからはデュッセルドルフまで車で10時間の工程。休憩なく走り続けるような体力はありません。
とはいえ、ヴュルツブルクは見所十分で、本来まる一日使って観光してもいい都市だと思うので、少々もったいない観光の仕方になりました。
この街最大の見所はなんといっても世界遺産のレジデンツです。
圧巻は階段の間で、天井には世界一大きいというフレスコ画があります。
30m×19mという大きさの一枚画は、実に素晴らしいです。
ヴュルツブルクは司教が治めた都市で、レジデンツも司教の宮殿です。
当時の司教の権力がいかに絶大だったかよく分かります。
レジデンツには教会が併設されています。それがホーフ教会です。
これがまた豪華絢爛。
圧倒されます。
ところで、ヴュルツブルクは日本人に馴染み深い人物の出身地です。
幕末に日本にやってきたドイツ人医師のシーボルトがヴュルツブルク出身。
シーボルトばオランダ人と勘違いしている人も多いように思いますが、それも無理がないことで、彼はオランダ人として日本にやってきているのです。
当時、日本はオランダとしか国交をもっていなかったので、オランダ人を名乗ったとか。
当時の幕府役人の耳は素晴らしく、シーボルトのオランダ語がなまっていると指摘したと言われています。
シーボルトは日本人女性との間に子供までもうけたものの、国禁の日本地図を持ち出そうとしたことが発覚し、国外追放されることになります。
ドイツ・プロイセンのスパイだったとも言われていますが、日本医学界に及ぼした功績の大きさには異論がないでしょう。
そう思うと、彼の故郷ヴュルツブルクは親しみの沸く街です。
さて、話をレジデンツに戻しましょう。
レジデンツのホーフ庭園には、変わった像があります。
子供がいじめている様子かと思ってよく見てみると、襲いかかっているほうの子供の足には蹄。さらに頭には角が。
どうやら、悪魔か何かのようでした。
キリスト教に詳しいと、意味が分かるのかもしれませんが、あいにく私は不勉強で、謎のままです。。。
******個性豊かな教会******

続いて訪れたのが
聖キリアン大聖堂です。
これが司教都市ヴュルツブルクの大聖堂かと思うくらい外観は地味ですが、中に入ると白亜の装飾が美しいです。
ちなみにドイツ語で大聖堂と訳される言葉は二つあります。ドーム(Dom)とミュンスター(Münster)です。
司教座がある、すなわち司教様がいらっしゃる大聖堂をDomといい、司教様がいらっしゃらないものの立派な教会はMünsterと呼ばれるわけです。
このDomはドイツで4番目の大きさという立派な教会ですが、後にレジデンツに併設された豪華なホーフ教会が建てられたのは、司教様はそれに満足できなかったということでしょうか。
ところで、大聖堂の名前に冠されている聖キリアンは、7世紀にここヴュルツブルクで殉教した聖人です。
ヴュルツブルクの名産フランケンワイン業者の守護聖人とされ、ヴュルツブルクでは非常に信仰を集めているとか。
もう一つの大聖堂、ノイミュンスター教会は彼の霊廟の上に建てられた大聖堂です。
聖キリアンらしき像がありました。
Münsterの名前が示すように、司教様がいらっしゃらない大聖堂ですが、こちらもなかなか立派です。
ノイとはドイツ語で「新しい」の意味ですので、これが建てられた当時はもう一つMünsterがあったのかもしれません。
Münsterのノイミュンスター教会が完成したのが11世紀、Domの聖キリアン大聖堂の完成は12世紀なので、ヴュルツブルクに司教様がいるようになったのは12世紀からなのでしょうか。
他にもヴュルツブルクにはマリエン礼拝堂というゴシック様式の教会もあり、ホーフ教会、聖キリアン大聖堂、ノイミュンスター教会と、それぞれ個性豊かな教会をたくさん見ることができるのも魅力の一つでしょう。
******アルテマイン橋******

さて、旅のお楽しみは、なんといってもご飯です。
私は知らなかったのですが、ヴュルツブルガーというソーセージが名産ということで、それを頂きました。
同じフランケン地方のニュルンベルク名産ニュルンベルガーとよく似ていますが、もう少し大ぶりで食べ応えがありました。
ニュルンベルガーと同じく、ザワークラフトと一緒に頂きます。
昔は美味しいと思わなかったザワークラフトを美味しいと感じるようになったのはどういうわけでしょうか。
舌がすっかりドイツに慣れてしまったのかもしれません。
食事をとったのは、ヴュルツブルクのシンボルともいうべきアルテマイン橋のたもとのレストラン。
このレストランでは道行く人にフランケンワインを提供していて、橋の上ではワイン片手に景色を楽しむ人で溢れかえっていました。
車で来ていたため、有名なフランケンワインを楽しめなかったのは大いなる心残りです。
羨望の眼差しで橋の上の人を眺めながら、、、私も景色を楽しみました。
次の機会があれば、是非私もワイン片手に景色を楽しみたいものです。
そして、最後にマイン川に沿って散歩。
勝手な感想をいえば、ヴュルツブルクで最も美しい景色がこの眺めです。
マイン川に風情あるアルテマイン橋が架かり、川を挟んだ丘の上にはマリエンベルク要塞をそびえ立つ様子は、実に絵になります。
しかも季節がよく、散歩道には花々が咲き誇っている様子は、散歩していて飽きません。
時間があれば、ここでゆっくりしたかったところですが、デュッセルドルフへ戻らなければならなかったので、ほどほどにして散歩を切り上げました。