******ヴォルムス帝国議会******
バーデンバーデンへの途上、中継地を選ぶ私の目に留まったのが、
ヴォルムスです。
ヴォルムスと聞いて、聞き覚えのある方は世界史を勉強した方でしょう。
世界史の中で重要な役割を果たした町です。
1521年、ヴォルムスで召集された帝国議会にマルティン・ルターが召還されます。
この議会で自説の撤回を迫られたルターは、それを拒否。
ルターは破門され、ローマ教会と決別。
ルターがカトリック教会と違う道を行くことを決めた瞬間でした。
この瞬間、プロテスタントが生まれたといっていいかもしれません。
その後、命の危険を感じたルターは、ヴォルムスを脱出。
ヴァルトブルク城に匿われます。
そこで聖書をドイツ語に翻訳したことで、カトリック教会に対して疑問を持つ人が増え、宗教改革が始まったといえます。
この歴史の転換点となった帝国議会を召集したのは神聖ローマ皇帝カール5世。
彼こそ、世界帝国スペイン王に、神聖ローマ皇帝を兼ね、ハプスブルク家に空前の大繁栄をもたらした人物です。
ハプスブルク帝国といいますが、実は神聖ローマとスペイン王を兼ねたのは、カール5世のみ。
自信に満ち溢れてたカール5世は、ルターに自説を撤回させ、宗教改革の騒動を収めるつもりだったと言われています。
が、その目論見は失敗。
ここから、カール5世の苦難の道が始まります。
ドイツ農民戦争に、シュマルカルデン戦争というプロテスタントとの戦いに加え、スレイマン大帝を擁するオスマン帝国との戦いに疲れ果ててしまうのです。
ヴォルムス帝国議会は、カール5世にとっても、転換期となった出来事だったといえそうです。
それほどの重要性をもつ街だからこそ、中継地に選んだわけですが、実際のヴォルムスは歴史を感じるというより、生活感に溢れていました。
町の中心に市場が立ち、買い物客で溢れていました。
私が特に目をひいたのが、自転車。
買い物客が、思い思いに試乗していて、この自由な雰囲気が、いかにもドイツという感じでした。