******北欧の香り******
14世紀のヨーロッパの主役の一つが
ハンザ同盟という都市同盟であったことは疑いようがないでしょう。
領主の支配を受けず、バルト海交易で繁栄を極めた自由都市が自衛のため形成した都市同盟こそがハンザ同盟です。
ハンザ同盟の初期メンバーが、リューベック、ヴィスマル、ロストックの三都市であったことはよく知られています。
ハンザ都市はバルト海交易で栄えた都市ですので、北欧の影響を色濃く受けています。
その中でもヴィスマルは一時期スウェーデンの支配を受けたこともあって、特に北欧の影響を受けた街といっていいでしょう。
実際、街の建物はカラフルで、これはドイツの他の都市ではあまり見られないもので、ここが北欧の都市かと見紛うほどです。
到着は夕暮れ時で、朝方から積もった雪に、綺麗な建物が並び、それにわずかに夜の帳が下りた景色は、どこか幻想的で、美しい別世界に迷い込んだようです。
さて、ヴィスマルはバルト海に面する港町です。
となれば、夕食はドイツには珍しい魚料理を食べたいのが心情でしょう。
マルクト広場に魚料理をウリにしているらしき店を見つけたので、そこに入りました。
これがなかなか美味しかった。
やはり、ドイツでも海に近いところで食べれば、魚も美味しいのです。
さて、翌日です。
朝食をホテルで済ませると、さっそく街に散策に出かけました。
まず向かったのが港です。
ここにフィッシュマルクトがありました。
有名なハンブルクに比べると、比較にならないくらい小さいですが、嬉しいことに店は船の上で、港町の雰囲気がより濃厚でした。
ちょうど、ここで買い物をしていった常連客らしき人が、ここの品質は抜群さ、とお茶目に店の宣伝をしていきました。
事前にこの存在を知っていれば、勧めに従ってここで朝食をとったところですが、ホテルで朝食を済ませてしまっており、ただ眺めるだけでした。
昔は港町といっても、内陸にあることも多いですが、ここヴィスマルは海に面しています。
そのため、リューベックなどに比べて、きちんと港町の香りがします。
もっとも、かつての栄華が信じられないほど、小さな港町になっていますが。
が、おかげで、大きな港町につきもののハンブルクのような喧騒はなく、静かに散策するには最高の港町といっていいでしょう。
こういうところを散策すると、どうにも私は嬉しくなってしまいます。
港をあとにすると、再び町中に。
教会へ寄りたかったのですが、ミサ中で、残念ながら、中に入れませんでした。
11時からなら入れるよ、と教えてくれた親切な方がいたのですが、ロストックへ向かう予定だったので、残念ながら断念。
特にどこかに寄るでもなく、ぶらぶら散策という、ちょっと珍しい旅でしたが、この町は街そのものが世界遺産に登録されている美しい街ですので、こうした旅こそもっとも相応しかったようにも思います。