******ヴァイスビールの本場******
ミュンヘンは既にして3度目の訪問。
が、ミュンヘン観光を主目的として、訪れたのは、実はこれが初めて。
一度目はオクトーバーフェストで、ほとんどミュンヘン観光はしていないですし、二度目は近郊のヘレンキームゼーやダッハウ観光の拠点として訪問。
が、今回はまぎれもなく、ミュンヘンが観光の主役です。
そして、最大の目的の一つがミュンヘンビールでした。
その中でも、今回のターゲットはヴァイスビール Weissbierです。
いわゆる白ビールで、バイエルン以外ではヴァイツェン Weizenと呼ばれるので、私にはヴァイツェンというほうが馴染みがあります。
Weizenという名が示すとおり、小麦でできたビールで、非常にフルーティーで飲みやすい。
日本ではなかなか味わえないビールです。
因みにWeissは白の意味ですので、ヴァイスビールという名前は単に白ビールと言っているだけですが、ヴァイスビールといえば、この小麦ビールのことです。
さて、今回は既にターゲットとしたレストランがあります。
ヴァイスビールを世に広めたシュナイダーヴァイセ直営のヴァイセスブロイハウス Weisses Bräuhausという店です。
なんとこの店は、ヴァイスビールだけで何種類も提供しています。
飲み比べてみると、確かに味が違います。
人気店なので、相席になりましたが、隣り合わせたご家族と交わした片言の会話も愉快でした。
またミュンヘンに来る機会があれば、是非また寄ってみたいブロイハウスです。
******バイエルン王国レジデンツ******
さて、ミュンヘンに来た目的は何もビールだけではありません。
翌日、さっそく向かったのはレジデンツというバイエルン王国の宮殿です。
ルートヴィヒ2世は、ミュンヘンの王宮を嫌い、ノイシュヴァンシュタイン城などを建てたと言われています。
伝統あるバイエルン王国の宮殿としてはもちろんのことながら、ルートヴィヒ2世が嫌った宮殿としても、大いに興味をそそられます。
まず最初に迎えてくれるのが、東洋趣味の部屋です。
東洋趣味は時代の流行りで、中国風や日本風のティールームというのはよく見るのですが、ここのはインド風とでもいうべき彫刻に飾られていて、日本人からみても、非常にエキゾチックでした。
続いて、アンティクヴァリウムという大きな部屋が出迎えてくれます。
これがなかなか見事で圧倒されます。
その他にも、見事な装飾の部屋や素晴らしい絵画のコレクションの数々。
歴代君主の寝室だけでもたくさんあります。
長く宮殿として使われたので、時代に合わなくなると、新しい寝室が作られたりしたわけです。
それにしても、このレジデンツは広く、見応え十分です。
ドイツの城や宮殿では、ノイシュヴァンシュタイン城とサンスーシ宮殿が特に知られていますが、このレジデンツも見逃せない見所といっていいでしょう。
ノイシュヴァンシュタインは未完成、サンスーシは規模が小さいことを思えば、見応えという点ではレジデンツがドイツ一といっていいかもしれません。
あまりに見応え十分すぎるので、オーディオガイドは、特に気になったところだけ聞くのが賢明というものでしょう。
さて、途中多少駆け足になりながら、レジデンツ観光もフィナーレへと向かいます。
フィナーレは鏡の部屋と祖先画の間。
鏡の部屋はどこでもハイライトと決まっていますが、ここはかなり小さいです。
それでも、豪華さ、美しさという点では、他に劣るものではありません。
が、ここでは、その主役の座を祖先画の間に譲っています。
この美しさは間違いなく一見の価値があるといっていいでしょう。
ここを出ると、入口に戻ります。
というわけで、実は入口からこの素晴らしい部屋を覗き見ることができ、いわばここを楽しみに長い見学コースを回ってきたといえます。
この間は、見ようによっては、偉大な祖先たちが子孫を叱咤激励しているようで、プロイセンの下風に立たされるという屈辱を味わったルートヴィヒ2世は、ひょっとするとこの間に息苦しさを覚えたのかもしれません。
考えてみれば、ルートヴィヒ2世が作った城には、血のつながりのないフランス・ルイ14世とその家族の肖像画はあっても、自分の祖先の英雄たちの肖像画は一枚もないのです。
さて、話をレジデンツに戻しましょう。
レジデンツには宝物館が付属していて、コンビチケットを買っていれば一緒に見学できます。
ここにはヴィッテルスバッハ家が誇る宝物が保管されています。
ヴィッテルスバッハ家といえば、バイエルン王家という以上に、ドイツ一の名門。
帝国内の有力諸侯であるバイエルン公位を獲得したのは1180年。
プファルツ選帝候位獲得は1214年。
帝国の有力諸侯としての歴史の長さでは、かのハプスブルク家すら及びません。
まして、プロイセンのホーエンツォレルン家など足下にも及ばない超名門。
かつてはハプスブルク家と肩を並べ、皇帝すら輩出したほどです。
そのドイツ最大の名門が保管する宝物はさすがに素晴らしかったです。
私のお気に入りは写真の騎士像ですが、他にも見るべき宝物がたくさんあります。
宝物のコレクションではドイツ一と言い切っていいように思います。
******超有名ブロイハウス******
さて、レジデンツのコンビチケットには
オペラ座の見学もついており、さっそく隣にあるバイエルン州立オペラ座へと向かいました。
が、どういうわけか、ここではないと言われ、撤収。
どうやら、レジデンツオペラ座というものが別にあるらしい。
バイエルン州立オペラ座なら、世界に冠たるオペラ座だっただけに残念です。
結局、見学できるはずのレジデンツオペラ座の所在地が分からず、見学を諦めて、今回の旅の目的の一つビールへと、再びターゲットを移しました。
目的地はミュンヘンで最も有名なブロイハウスであるホーフブロイハウスです。
案の定、人で溢れかえっていましたが、なんとか相席で席を確保。
ここのいいところは、店員は民族衣装を纏い、店内には楽しげな音楽が流れ、いかにもバイエルンらしい雰囲気に溢れていることです。
この店の名物はオクトーバーフェストでも知られる1Lビールですが、今回は自粛。
実は、この店は二度目で、数年前に来たときは、悠長に1Lビールを飲んでいると、危うく帰国便を逃すところでした(汗)。
もちろん店にはなんの過失もありません。
が、既に1Lの量の多さを学んでいる私は、ここでは500mlジョッキを頼んで、観光の時間を残すという学習効果を発揮したわけです。
そして、食べ物は白ソーセージ。
これも前回頼んだものですが、これも前回と違って食べ方を学んでいます。
皮をむいて食べるのです。
これもドイツに住んだからこそ知り得た知識でしょう。
******格安美術館******
さて、ホーフブロイハウスをあとにして、向かったのが
アルテビナコテーク。
が、その途中で偶然にも諦めていたレジデンツオペラ座を発見。
レジデンツの裏手にありました。
時間は既になくなりつつありましたが、これは訪れないわけにはいきません。
中に入ってみると、規模は小さいですが、なるほど豪華です。
ここでも、たまにコンサートをやっているらしく、チケットも売っていました。
ここで聞くコンサートも素晴らしいに違いありません。
さて、今回の旅の最後の目的地がアルテビナコテークです。
本当は、ノイエピナコテーク、モダンピナコテークを含めた3つの美術館を網羅したかったのですが、もはやとてもそんな時間はありません。
いや、実を言えばアルテビナコテークすらほとんど見る時間がなくなっていました。
それにも関わらず無理をしてやってきたのは、ミュンヘンの美術館は日曜日たったの1ユーロになるという特典があるからです。
名画を多く所有しているという美術館をたった1ユーロで見ることができるというのに、見ずに帰るわけには行かないでしょう。
が、実のところ20分くらいしか残されておらず、疾風のごとく見て回り、あっという間に去るだけで終わってしまいました。
ミュンヘン最大の心残りといっていいでしょう。