******絵本の街******
ドイツ最高峰ツークシュピッツェへの旅の宿に選んだ街が
ミッテンヴァルトという小さな街です。
この街を宿泊先に選んだ理由はただ一つ。
かのゲーテが絵本のようだと評したという、その事実がその理由です。
街のほとんどの家に宗教画が描かれ、なるほど確かに絵本の世界に迷い込んだようです。
直前に訪れたツークシュピッツェは霧の中。失意に沈んでいた私の気分を回復させるには十分でした。
特に何もない街ですが、その絵を眺めながら散策するだけで楽しいです。街の後背には美しいドイツアルプスの山々がそびえて
いるというのも、気分を高揚させてくれます。
町の中心には教会があり、その前にはバイオリンを抱えた人物の彫像があります。
実はこの街はバイオリンでも有名なのです。
かつて地中海と北ドイツの交易の中継地として栄えたこの街も、交易の中心が新大陸に移るとともに、廃れていったとか。
が、そうしたこの街を救ったのが、彫像になっているマティアス・クロツです。
彼がバイオリン作りの技術を持ち帰り、バイオリンをこの町の一大産業にし、町を救ったのです。
かのモーツアルトが手にしたバイオリンもこの町の産だとか。
さて、宿泊したホテルにも触れておきましょう。
リーガーホテル(Riger Hotel)というところに宿泊しましたが、これがまた非常によかったです。
部屋でネットが使えないことだけが、唯一の不満点。
そして、食事がまた美味しかったです。
選んだのは、Tages Menu、すなわち日替わり定食。
また、席を隣り合わせた老夫婦が非常に品がよい方で、私が食べる前にはGuten Appetitと声をかけて下さるなど、
非常に気持ちよく食事ができました。
会話自体は、私は英語に片言のドイツ語、向こうはドイツ語と片言の英語という奇妙な会話でしたが、意外に
意志疎通はできるものですね。
食事のあとは、ホテルの地下にあるバーに行ってみたところ、いろんな方が音楽に合わせて踊り始めました。
踊りといっても、社交ダンスのようなもので、私にとってはなかなか新鮮な経験でした。
ここでも、片言のドイツ語での会話に成功したというのも、ドイツ語での会話に挑戦することを目標にしていた
私には嬉しい経験でした。