******世界で最も行きたい美術館******
朝、ノートルダム大聖堂で寄ってから向かってのが、
ルーヴル美術館です。
私が世界で最も訪れたかった美術館といっても過言ではありません。
正面にまず、有名なルーヴル・ピラミッドが迎えてくれます。
先に白状しておきますが、私はルーヴル美術館の楽しみ方を分かっていませんでした。
収蔵品38万点という世界最大の美術館。
ターゲットを絞って見学すべきでした。
見所を全部見ようなど、無謀にもほどがありました。
が、入場の時点ではそんなことは、全く分かっておらず、夢の美術館を訪問したことで、すっかり舞い上がった状態でした。
このルーヴル美術館の素晴らしいのが、Nintendo DSのガイドです。
お勧めルートを案内してくれるほか、各国の言語で収蔵品の解説をしてくれます。
もっとも、このお勧めルートはくせ者で、疲れ果てる元だった気はしますが。お勧めルートなどに構わず、決めたターゲットへ直行するのが正しい楽しみ方だたった気がします。
******世界一の微笑み******
お勧めルートに従っていくと、いきなり超有名な絵画が現れます。
あのモナリザです。
モナリザの前にはすごい人だかり。
予想していたより小さい絵画であることに驚きます。
人だかりがすごかったとはいえ、朝早く来た甲斐あってか、まだそれほどでもなく、モナリザと一緒に写真撮影することができました。
モナリザに関してミステリーのように面白い説がいろいろ提唱されていますが、この謎めいた微笑みをみると、そうした憶測を呼ぶ理由も分からなくもありません。
何やら意味深な微笑みにみえてきます(笑)。
******サモトラケのニケ******

続いて、これも人気の彫刻
サモトラケのニケがありました。
このサモトラケのニケは、主要な階段の途中にあるので、その後何度か見ることになります。
ニケはギリシャ神話の勝利の女神で、ローマ神話での別名はヴィクトリア。
言うまでもなく、英語のヴィクトリーの語源になった女神です。
この彫像が欠けているのは、発掘されたものだからです。
発掘されたのは、ギリシャのサモトラケ島。
サモトラケのニケと、呼ばれる所以です。
欠けているとはいえ、翼を広げた女神の姿は美しいです。
いや、むしろ欠けているが故に美しさが際立つのかもしれません。
******アポロン・ギャラリー******
その後も有名な絵画が目白押しです。
フェルメールの『レースを編む女』など、超有名な絵画のはずなのに、ギャラリーは少なく、間近で見ることができます。
フォンテーヌブロー派の絵画『ガブリエル・デストレとその妹』も有名です。
知らなかったけど、興味を惹いたのが、『エヴァ・プリマ・パンドラ』。
イヴともパンドラとも思われる女性が、死の象徴たる髑髏を抱いている絵です。
イヴにせよパンドラにせよ、厄災を招く原因となった女性で、それが髑髏を抱いている理由のようです。
さて、ルーヴル美術館は、もともとフランス・ブルボン王家の宮殿。
あのヴェルサイユ宮殿へ移るまでの王宮はここだったのです。
ここが王宮だったことを思い出させてくれる部屋がアポロン・ギャラリーです。
この部屋の豪華絢爛さには息を飲みます。
ヴェルサイユ宮殿の有名な鏡の間は、この部屋を模したとも言われていますが、それも納得です。
******民衆を導く自由の女神******

さらに、その後も、ドラクロワの
『民衆を導く自由の女神』に感激。
これは、フランス革命を語るうえで、必ず紹介される名画。
それに何とも言い難い悲劇を劇的に描き出した名画『メデューズ号の筏』。
これは名画に違いないんでしょうけど、主題が重すぎますね。
そして、これも有名なナポレオンの戴冠式。
本当はいなかったナポレオンの母が描かれているなど、そのあたりの物語を思うとなかなか興味深い絵画です。
******ミロのヴィーナス******
そういった有名絵画の鑑賞を終えると、現れたのが、これまた超有名な彫像、
ミロのヴィーナスです。
数多くの有名品を収蔵するルーヴル美術館においても、モナリザと並ぶ二大収蔵品といって間違いないでしょう。
さすがにこの周りには多くの人だかりがありました。
この女神は、本当はギリシャ神話のアフロディーテと呼ぶのが正しいはずですが、同一視されるローマ神話の女神ヴィーナスと呼ばれるのが一般的になってしまいました。
ミロとは、ギリシャのミロス島のことで、そこで発見されたので、ミロのヴィーナスと呼ばれています。
ミロのヴィーナスは両腕がありません。
が、この女神を眺めていると、両腕がないが故に美しいようにも思えます。
何か欠けていると、人は欠けたものを無意識に補って見ますが、だいたい空想には願望が入って、より美しく見せるのではないかと思います。
もっとも、それは残った部分の美しさがあってのものですね。
サモトラケのニケに通じる、欠けているが故の美しさでしょう。
ちなみに、どちらが好きかと問われれば、私はサモトラケのニケに軍配を上げます。
******ハンムラビ法典******
最後に見たのが、古代オリエント部門。
ここには、アッシリアの有翼人面牡牛像など、古代オリエントの美術品というか、遺跡が収蔵されています。
ここで、何としても見たかったのが、ハンムラビ法典が刻まれた石碑です。
あの、目には目を、歯には歯を、で知られる法典ですね。
今から約3800年前に制定されました。
驚くべきは、それほどの昔に法治国家が確立していたことです。
例えば、中国でも、法治国家が確立したのは、秦の商鞅の改革からといっていいので、約2400年前のこと。
ちなみに文字という観点では、中国の甲骨文字が今から3200年くらい前の殷の高宗・武丁の時代に確立したと言われていますが、ハンムラビ法典はそれより古いわけです。
そんな古い時代に体系的に法律を整備していたというのは驚きです。
こうして、ひと通り見たわけですが、歩いた量もさることながら、インプットの多さもあって、すっかり疲れてしまいました。
冒頭にも書きましたが、この世界一の美術館を1日で全部見ようというのは無茶というものです。
イタリア絵画なら、イタリア絵画に絞り、且つターゲットを決めて、そのターゲットをじっくり見て楽しむというのが、ルーヴル美術館の正しい楽しみ方のような気がしました。