******竜の城******
ケーニヒスヴィンターという小さな街がボンの少し南にあります。
ここは伝説の地。
ドイツの英雄叙事詩ニーベルンゲンに登場し、ワーグナーのオペラでも知られる、神話上の英雄
ジークフリートが竜を殺したと伝えられるのがこの地なのです。
竜を殺したジークフリートは、その返り血を浴びて不死身になったと伝えられます。
が、ギリシャ神話で有名なアキレスにしてもそうですが、弱点を抱えるのが、こうした英雄の常で、
彼もまた弱点がありました。
運悪く木から散った葉が背中に張り付き、そこは竜の血を浴びずに、彼の弱点となります。
結局その弱点が仇となり、殺されてしまうことになります。
いずれにせよ、ジークフリートといえば、ドイツ人は皆知っているくらいの有名人です。
その伝説の地に、竜の城と呼ばれる城が建っているのです。
中世風のお城で、小型のノイシュヴァンシュタイン城のような可愛らしい雰囲気があります。
が、実は19世紀後半の建造。
更に言えば、王侯貴族が建てた城ではなく、あるお金持ちの別荘という代物。
確かによくみれば、ディズニーランドのシンデレラ城のような、テーマパークにあるお城という気もします。
が、よく考えてみれば、有名なノイシュヴァンシュタイン城も、城としての機能は皆無に等しく、
言わば王の別荘というべきもので、ノイシュヴァンシュタイン城に価値を見いだすなら、この城も評価されてしかるべきでしょう。
外観の美しさは、数あるドイツの城の中でも上位に位置するのは間違いないように思います。
内部の方は、さすがに王国の城のように豪華絢爛というほどではないですが、品の良い美しさがありました。
また、城のある高台からは、ラインの眺めを見下ろすことができて、それもまた良い眺めでした。
さて、この地方は竜の血Drachenblutと名の付く赤ワインの産地。
これは買わない手はありません。
この竜の城のショップでワインボトルを見つけ、喜んで買って帰ってボトルを開けてびっくり。
まさかの白ワイン。
Drachenblutかどうかを確かめずに、勝手にそれと思いこんだ私のミスで、こればっかりはちょっとばっかりショックでした。
が、それはともかく、この竜の城は、デュッセルドルフ近郊では訪れる価値のある城に違いありません。