******イギリス王家発祥地******
ハノーファーと聞くと、多くの人が
メッセを連想するらしいのですが、この街もまた歴史ある街です。
意外に知らない人が多いのですが、今の
イギリス王家はハノーファーから迎えられ、ある時期まで両国は同じ君主を戴いていたのです。
故に歴史的にイギリスと非常に繋がりが深い。
この地方がドイツには珍しく、紅茶を好むというのも、そういった歴史と無関係ではないでしょう。
先にある時期まで、ハノーファーとイギリスは同じ君主を戴いていた、と書きましたが、それはヴィクトリア女王の即位まで、です。
ハノーファーでは女子の即位は認められておらず、やむを得ず別君主を立てることとなったわけです。
ハノーファーのヘレンハウゼン王宮は庭園が有名ですが、君主が庭園の美しさで知られるイギリスの国王だったことを思えば、それも当然でしょう。
いわゆるイングリッシュガーデンを見られるというわけです。
ナポレオン戦争後には王国に昇格。
ドイツに5つしかない王国の一つとなります。
が、その後、ドイツ統一を目指すプロイセンに併合され、短い王国の歴史に幕を閉じました。
ともあれ、イギリス王家はウィンザー家と呼ばれますが、それはヴィクトリア女王の夫の家から来ており、決してハノーファー王家であるヴィクトリア女王の血統が絶えたわけではないのです。
いわば、イギリス王家の源流がここにあると思えば、なかなかに興味深い。
どこから見ても、生粋のブリティッシュにみえるロイヤルファミリーは元を正せば、ドイツ人というわけです。
さて、それだけの期待をもってやってきたヘレンハウゼン王宮庭園ですが、残念ながら、訪れるのが少々早すぎたようです。
木には緑がなく、花は咲いておらず。
考えてみれば、いたって当たり前ながら、冬という季節は庭園観光に不向きでした。
緑が芽吹けば、どれほど美しかろうか?と想像しながら庭園観光というのは、少々悲しいものがありました。
この季節を選択した私の自業自得ですが。。。
と、ショックなことばかり書いてしまいましたが、緑や花が全くないわけではなく、見る場所によっては、それなりに美しかったです。
その証拠に、といってよいか分かりませんが、ウェディングドレスを着て、記念撮影をしているらしきカップルを何組か見かけました。
ドイツで著名観光地へ行くと、たまにこうしたカップルを見かけます。
入場料さえ払えば、素晴らしい景色をバックに記念写真を撮れるという、ドイツ人らしい合理性を感じます。
さて、庭園を去った後はアルトシュタットへ。
ハノーファー王国の首都として栄えた街ですが、第二次世界大戦の空襲で徹底的に破壊され、歴史的な建物の多くは残念ながら破壊されてしまったといいます。
それでも、アルトシュタットは多少復興されていて、古い街並みを楽しむことができます。
オペラ座や教会などがその代表でしょう。
が、何と言っても素晴らしいのは市庁舎です。
ヘレンハウゼン王宮庭園と並ぶハノーファー最大の見所と言っていいように思います。
ドイツの他の都市ではあまりみないようか姿をしています。
プロイセンに吸収されたとはいえ、王国の首都であったハノーファーの誇りを垣間見るようです。
誇りといえば、ハノーファー王家は、遥か中世の昔に活躍したザクセン公ハインリヒ獅子公の末裔です。
彼は帝国内の名門出身で、皇帝となることを願ったとも言われていますが、結局皇帝フリードリヒ・バルバロッサとの争いに敗れた人です。
彼の子孫が海の向こうで、大英帝国の王として世界に君臨し、今も世界の尊敬を集めていることを思えば、ハインリヒ獅子公の誇りが、長い年月をかけて、実を結んだといえるような気もします。