******シュヴァーベン地方のカーニバル******
カーニバルは必ず
木曜日に始まり、月曜日に終わる。
いわば、5日間続くお祭りなわけですが、木曜と金曜は休みではないので、休みを取らずに楽しめるのは3日間だけというわけです。
クリスマスマーケットのように何都市も訪問するというわけにはいきません。
すなわち、一年で訪問できるのは、せいぜい3都市。
となれば、三大カーニバルとの呼び声高いケルン、デュッセルドルフ、マインツの三都市といいたいところですが、ライン川沿いの諸都市のカーニバルの基本コンセプトは同じはずで、それを3つ見るというのは、いかにも面白くない。
どこかに違ったカーニバルはないのかと、調べていたら、シュヴァーベン地方のカーニバルが一風変わっていると知りました。
仮面をつけるらしく、まるでベネチアのカーニバルのようではないですか。
シュヴァーベン地方で未訪問である魅力的な都市といえば、なんといってもフライブルクです。
歴史を感じさせる街並みは、この地方で群を抜いた魅力を感じさせます。
というわけで、一風変わったカーニバルを見るために、フライブルクを訪れました。
到着して、さっそく街を歩いてみると、スイスのベルンに似ています。
と思ったら、それもそのはずで、中世スイスを支配したツェーリング家の本拠地こそ、このフライブルクなのです。
フライブルクがスイスに似ているのではなく、スイスがフライブルクに似ているというべきでした。
スイスまで行かずとも、フライブルクへ行けば、スイスの街並みを楽しむことができるという訳です。
もっとも、スイスアルプスはありませんが。。。
さて、この日は日曜日なので、大聖堂ではミサがあります。
終わった頃を見計らって、中へ入りました。
さすがに歴史ある街の大聖堂だけあって、風格がありました。
さて、肝心のカーニバルですが、いつ始まるのか、ホームページを見てもイマイチ分からない。
カーニバルでは、何故か11という数字という数字が大事で、多くのイベントが11時11分スタートであることを知っていましたので、その時間にはメイン通りに待機してみたのですが、人通りが少なく、どう見ても何かが始まるような気配ではありません。
そこで、ツーリストインフォメーションセンターへ行って聞いてみると、公式には2時からってなってるけど、昼過ぎくらいから、そこかしこで勝手にいろいろ始まるよ、と。
なんだ?その適当さは?
と思ったものの、そんな細かいことに拘らないのがドイツです。
そのことを忘れていました。
ホームページにはっきり書いていないということは、はっきりしていないということなのです。
カフェでしばらく時間をつぶして、再び通りに出ると、だいぶ人が増えていました。
ふと、賑やかな音楽が鳴り響き、振り向くと、仮面の音楽隊が、人通りをかき分けて通っていきました。
さらに歩を進めると、仮面はつけずに音楽を披露している一団がいます。
彼らがまた楽しそうに音楽を鳴らしているのです。
かと思えば、別のところでは、カラフルな仮装をした一団が演奏を披露。
前日に見たマインツとの違いは、パレードのように格式張っていないので、それぞれ自由奔放にパフォーマンスを披露していることです。
それらのパフォーマンスを見ながら、私はゼクトと呼ばれるシュヴァーベン地方名産のスパークリングワインを片手に楽しみました。
それにしても、ここのカーニバルの自由奔放さは面白いです。
もっとも、この自由奔放さは、都市による差というより、パレードがない日ということによるものだったかもしれません。
とにかく、人混みの中を、楽団が行進していったり、仮面の集団が楽しそうに練り歩いたり、とそれを見ているだけで、こちらも気分が浮き立ちます。
この仮面は、シュヴァーベン地方すべて同じふうというわけではなく、都市によって特色があるようです。
ここフライブルクは、日本でいえば、ヒョットコのようです。
とにかく、仮面からして、楽しそう。
都市によっては、怖い仮面をつけるところもあるらしいのですが、愉快な仮面はこちらの気分も明るくなるのがいいです。
そして、カメラ小僧としては、カメラ小僧を向けたときの、彼らのサービス精神旺盛さがまた嬉しい。
正直なところ、デュッセルドルフやマインツといった有名どころより、この特に何もなかったフライブルクのカーニバルが一番気に入ってしまいました。
パレードではなかったというのが逆によかったのかもしれません。