******欧州金融の中心******
ドイツで
最も日本人に名前が知られた町はあるいはフランクフルトかもしれません。
欧州のハブ空港たるフランクフルト空港がありますし、それになんといってもソーセージで名前がよく知られています。
ドイツには珍しい高層ビルが立ち並ぶ近代的都市のイメージが強いですが、そんなフランクフルトにもアルトシュタット、すなわち旧市街はあります。
レーマー広場と呼ばれる市庁舎前の一角だけが、周りとは別世界。
ここだけ中世の雰囲気が漂っています。
高層ビルが立ち並ぶ一角にこういう空間が存在するということが面白い。
これはフランクフルトならではといっていいでしょう。
さて、フランクフルトは神聖ローマ帝国にあって、非常に重要な都市でした。
皇帝の選挙は必ずこのフランクフルトで実施され、戴冠式もまたこの地で行われました。
その帝国内での位置付けこそが、フランクフルトを大都会に押し上げたといっていいでしょう。
その戴冠式が行われた舞台が、やはりアルトシュタットにある大聖堂です。
神聖ローマ皇帝の戴冠式が行われたということから想像していた派手さはなく、意外とシンプルなつくりをしていました。
さて、お昼時になったので、ここでレーマー広場へ戻り、昼食をとりました。
頼んだのはもちろんフランクフルトソーセージです。
ところで、日本人がフランクフルトソーセージと聞くと、ほぼ十人が十人太いボリュームのあるソーセージを想像すると思いますが、実は本番フランクフルトソーセージは、非常に細長い!
何故、日本であの太いソーセージをフランクフルトと呼ぶのか謎ですが、とにかく本物は全くの別物。
味のほうは、ちょっともの足りないという印象です。
ニュルンベルクのニュルンベルガー、ミュンヘンの白ソーセージに比べると、どうしてもインパクトに欠けます。
ひょろひょろしたソーセージは、ドイツらしくない(笑)
もう一つのフランクフルト名物が、リンゴワイン。
ただし、これは名前から想像されるものとは、ちょっと違います。
ワインのような上品さはなく、アルコールの味がしっかりとするお酒でした。
私の好みをいえば、口に合わなかったです。
さて、フランクフルトで忘れてはならないのが、旧市庁舎です。
ここもまた、大聖堂と同じく、神聖ローマ帝国にとって非常に重要な施設でした。
戴冠式の後の祝宴はここで開かれたのです。
今、その祝宴の間は公開されていて、歴代皇帝の肖像画が掛けられていました。
それ以外はどうということもない間で、少々拍子抜けの感がありました。
が、歴代皇帝の肖像画はちょっと面白かったです。
威厳十分のカール大帝に、好戦的にみえるオットー大帝。
どこか肩肘張ったようなフリードリヒ・バルバロッサなど、見ていてなかなか楽しいです。
さて、フランクフルトといえば、大都会のイメージをもつ人が多いと思うのですが、その実は人口約70万で、ドイツ第五の都市と、大都会とまではいえない都市です。
にも関わらず、大都会のイメージがあるのは、ひとつには欧州を代表する巨大ハブ空港があること、そしてもう一つには欧州中央銀行がここにあることが大きいでしょう。
その欧州中央銀行の前には、誇らしげにユーロのマークが、どーんと鎮座しています。
ある意味、もっともフランクフルトらしい光景といっていいかもしれません。
ところで、日本で春といえばなんといっても桜ですが、ドイツの春に桜がないのを何となく寂しく感じていました。
が、フランクフルトを流れるマイン川沿いを歩いていると、ふと見慣れたピンク色が目に飛び込んできて驚きました。
なんと桜が咲いていたのです。
桜には日本式家屋が似合うと思い込んでいたのですが、どうしてどうして、欧州でもやっぱり、映えます。
この桜の花は、欧州にあっても、春の訪れを告げるものであったようで、これまでモノトーンだった景色が、この日以降俄かに色付くようになったのでした。
ところで、観光都市とはいえないフランクフルトとはいえ、見所はあります。
その筆頭がシュテーデル美術館ではないでしょうか。
私が訪れたときは、モネ展をやっていて、なかなかの長蛇の列でした。
モネ展は残念ながら撮影禁止。
モネの絵というのは、タッチが優しいように感じますね。
私の妻がモネのファンで、ここを見せてあげられなかったのは残念です。
他にも、見応えのある絵画がありました。
こういうときは、絵画オンチの自分が情けなくなります。