******華の大聖堂******
テューリンゲンと聞くと、既に何やら華やかなイメージをもってしまうのですが、そのテューリンゲンの州都が
エアフルトです。
この街はかつて青の染料を産出して、大いに栄えた街で、テューリンゲン伯が力を失うと、テューリンゲンの中心は
マインツ大司教が治めるこのエアフルトに移ったようです。
そのテューリンゲンの都、エアフルトを代表する観光名所がクレーマー橋です。
橋といっても、橋の両脇には店が建ち並び、どちらかというと、川の上に家が建ち並んでいるように見えます。
橋の上に立つと、もはや橋というより、何の変哲もない道にしか見えません。
ここはエアフルトを代表するショッピングストリートらしいのですが、買い物に特別興味がない私には、ふーんという感じでした。
観光名所クレーマー橋は特に感慨を覚えませんでしたが、もう一つの観光名所である大聖堂は素晴らしい。
さすがは選帝候の一人であるマインツ大司教の直轄地というべきでしょう。
私がこれまで見たドイツの教会の中では、ケルン、マインツに次ぐ素晴らしさといっていいでしょう。
圧巻でした。
まず、ドーム広場から見上げる大聖堂とその隣のセヴェリ教会の美しさに息を飲みます。
この街のクリスマスマーケットは美しいと聞きますが、それも納得です。
しかし、それ以上に素晴らしいのは、その内部。
特にステンドグラスとその前の祭壇には圧倒されます。
これほどの素晴らしさを期待していなかっただけに、これは嬉しい誤算でした。
さらに、その隣にあるセヴェリ教会にも寄ってみましたが、
これもまた見応えがありました。
これほどの教会が隣接して建っているというのは驚きです。
エアフルトは、教会好きには垂涎の街といっていいような気がします。
さて、再びクレーマー橋のほうへ戻って、フィッシュマルクトという広場へ足を運びました。
ここに建つ市庁舎へは無料で入ることができます。
私の少々怪しい記憶によれば、ここでナポレオンがゲーテと会っているはずなのです。
その際に、ナポレオンは、これぞ人だと言ったと伝えられています。
ナポレオンにゲーテは似合わないと思うのですが、彼はゲーテの熱心な読者だったようです。
市庁舎の中には、いくつかの絵画がかけられていて、英語の説明文付きで鑑賞することができます。
私にとって興味深かったのはハインリヒ獅子公が皇帝フリードリヒ・バルバロッサに謝罪している絵で、
私は知らなかったのですが、ここエアフルトがその舞台だったようです。
威勢を張ったハインリヒ獅子公が皇帝フリードリヒ・バルバロッサに屈服した瞬間で、それを境に
ハインリヒ獅子公のヴェルフ家は没落していくことになるわけです。
その舞台がエアフルトであったことは、当時のテューリンゲンの重要性を暗示しているように思います。
ところで、英語の解説文では、ヘンリ獅子公となっていました。ドイツ名のハインリヒが英語名のヘンリと同じで
あることをすっかり忘れていて、当初、少々混乱してしまいました。