******ベルリンの壁の跡******
空路でベルリンに入って、バスでベルリン中央駅Hauptbahnhofへ。
この日の目的地はポツダムでしたが、中央駅近くには国会議事堂に、ブランデンブルク門というベルリンを代表する観光地が。
素通りするわけにはいかないでしょう。
実はともに以前訪問したことがあるのですが、妻は初めてのベルリン。
ベルリンのシンボルというべきブランデンブルク門はやはり見せてあげたい。
クラシックとモダンが融合した国会議事堂の前で記念撮影をしてから、ブランデンブルク門へ。
かつて、ブランデンブルク門の前には、ベルリンの壁があって、このベルリンのシンボルというべき門に人々は近づくことができなかった、という時代がありました。
ベルリンの壁崩壊の映像を見たことがある人なら、この門の前の壁が壊されている様子に記憶があるでしょう。
今、この門にアクセスできるということは、ベルリンの壁崩壊という歴史を経たという証なわけです。
かつて、存在した門はどこにあったかと想像を巡らせていると、ベルリンの壁がかつて存在した場所を説明している声が
聞こえてきました。
そう。跡があるのでした。
これには前回は気が付きませんでした。
二度目やってきた甲斐があったというものです。
ボランティアのガイドさんらしき人が親切に説明してくれました。
ソ連のゴルバチョフが進めるペレストロイカは東側諸国に民主化の波を生み出し、東ドイツではホーネッカーが失脚。
そして、運命の1989年11月9日、東ドイツは国境の開放を発表。
すると、東ドイツ国民がベルリンの壁に殺到し、ついに壁が崩壊したのです。
そのベルリンの壁崩壊という歴史的大事件がここであったのかと思うと、ちょっと感慨深いです。
******ベルリンの壁が舞台のミュージカル******
さて、この日はポツダム観光を終えて、ベルリンに戻ってきてから、まだ予定がありました。
ミュージカルです。
Hintern Horizontというベルリンの壁を題材にした作品。
今回の旅はベルリンの壁づくしです。
ドイツ語なのが、難点ですが、いちおう英語の字幕がありました。
席が舞台に近すぎて、字幕を追っていると、劇を見れないというジレンマに苦しみましたが。。。
物語の主人公はUdo Lindenbergという実在のロック歌手。
彼のヒットソング"Mädchen aus Ost-Berlin"「東ベルリンから来た少女」に題材をとっています。
その少女が実在していて、実はUdoの恋人だ、という設定です。
劇中、Udoのヒットソングメロディーと化していて、Udoファンにはたまらないらしいですが、生憎私はUdoを知りません。
ストーリーは実に分かりやすく、正直言葉が分からなくても、ある程度楽しめました。
なので、字幕を追うのはよく分からないときだけにして、多くの時間は舞台に集中しました。
舞台は東西に分かれていた頃のベルリン。
西側のロック歌手Udoと東側の少女との恋物語です。
ベルリンの壁に分かたれていた当時の東ドイツの様子がよく感じられ、ベルリンの戦後史を楽しく復習できました。
ベルリンの壁観光と合わせて、楽しむのがいいですね。
ただ、ストーリー自体はふた昔前の少女漫画のようで、少々安っぽかったですが(笑)。
それでも、ベルリンの壁崩壊などの歴史的出来事の映像がスクリーンに流れるのも、当時に思いを馳せることができて、非常に良かったです。
******ペルガモン博物館******
さて、翌日、まっさきに向かったのが、
ペルガモン博物館。
私は二度目ですが、ここだけは妻をに見せてあげたかったところです。
長く並んだ前回の反省を生かして、今回は前売り券を購入しました。
これがあれば、長蛇の列に並ばなくてすみます。
が、今回は何故か前回ほどの長蛇の列はなく、前売り券のメリットはさほどなく、、妻に良いところを見せるはずが、ここは作戦失敗。
とはいえ、ペルガモン博物館最大の見所、イシュタール門には感激してもらえました。
これに関しては、大英博物館やルーブル美術館にも、これほどの素晴らしいものはありません。
ベルリン必見の場所といっていいでしょう。
空中庭園があったことで有名な伝説の都市バビロンに存在した門がイシュタール門です。
この門の発見によって、バビロンの実在がはっきりと証明されたとも言われるようです。
繁栄を極めたバビロンの門だけあって、圧巻の大きさですが、実はこれは前門。
主門はなんとこの倍の大きさらしいですが、博物館に入らないので、復元を諦めたとか。
もう一つの見所が、ミレトスの市場門。
現トルコにあったミレトスというギリシア人の古代都市、その市場の門です。
これがまた圧巻。
これほどよく復元された市場門は、そうはないです。
そして、もう一つが古代トルコに存在したペルガモン王国の遺跡であるゼウスの大祭壇。
ギリシアの神々と巨人族の戦い、ギガントマキアを描いた素晴らしい彫刻があるのですが、この日は生憎修繕中とかで、見ることができませんでした。
これを妻に見せることができなかったのは残念でした。
******ベルリン大聖堂******

博物館を去って、近くで昼食をとった後に向かったのが、
ベルリン大聖堂です。
プロイセン王家の人々が葬られている教会で、ベルリンを代表する観光名所ですが、前回は前を通っただけでした。
中へ入って、前回の選択が間違っていたことを思い知らされました。
世界的大都市のベルリンが誇る大聖堂です。
素晴らしいに決まっています。
考えてみれば、この大聖堂が建てられたのは20世紀に入ってから。
プロイセンがドイツ帝国として君臨していた時代です。
プロイセンの威信をかけての建設だったことは想像に難くありません。
内部はまさに豪華絢爛。
これは見る価値があります。
さて、この大聖堂、上へ登ることができます。
上へ登れるときに登るのは、人の習性でしょう。
なかなかの高さを上に上がって、見た景色は、ちょっと微妙。
特にこのとき、時間に余裕がなかったこともあって、登ったことを少し後悔しました。
時間がないので、ちらっと眺めると、すぐに下へ。
中層階になにやら展示物があったのも無視(笑)。
******アンペルマンショップ******
そうまでして、慌てて向かった次の目的地ですが、まだ障害はあるものです。
目に飛び込んできたのはアンペルマンAmpelmann。
ベルリンで人気のマスコットです。
Ampelmannとはドイツ語で、信号機の人の意味。
かつて東ドイツでは西ドイツとは違う信号機が使われていて、ベルリンの壁が崩壊すると、なんでもかんでも西側に合わせることになり、消えゆく運命にあった東ドイツの信号機。
が、その可愛さゆえに、存続を求める運動が巻き起こり、存続が決まったばかりが、あまりの人気にグッズまで売り出されるようになったという、ベルリンのゆるキャラです。
そのショップに足は吸い込まれていきました。
今回の旅のテーマはベルリンの壁。
予定になかったとはいえ、これもテーマに沿った行動です(笑)
それにしても、アンペルマンだけのショップがあるとはすごいです。
マグカップに、ボールペン、ペンケースに、、、他にもいっぱいありましたが、忘れてしまいました。
アンペルマングッズに興味があるなら、一度は足を運ぶべきでしょう。
我々二人は散々悩んだあげく、何も買いませんでしたが。。。
******イーストサイドギャラリー******
さて、今回の旅最大の目的地といっていいのが、次に訪れた
イーストサイドギャラリーです。
東西ドイツが統一されれば、ベルリンの壁は無用の長物。
当然ながら、消えゆく運命にありました。
が、不幸な歴史を後世に伝えるために保存活動が巻き起こり、世界の芸術家が壁に絵を描くことで壁が保存されている場所があります。
それが有名なイーストサイドギャラリーです。
やっぱりメッセージ性の強い絵が多いですね。
有名なのは、ホーネッカーとブレジネフのキスですが、他にもいろんな絵があります。
ところで、有名なホーネッカーとブレジネフのキスですが、風刺で生み出された架空の一幕ではなく、歴史的事実に基づいた一幕です。
当時、ソ連には男同士がキスをする文化があり、忠実にソ連に仕える東ドイツの最高権力者ホーネッカーがソ連の文化に従って、蜜月をアピールしてみせた一幕です。
それを壁に描いてみせたのは、もちろん皮肉でしょう。
それはともかく、そうしたアート作品の上に落書きが目立ちました。それが、非常に残念でなりません。
******カイザーヴィルヘルム教会******
さて、ベルリン大聖堂で上へ登り、アンペルマンショップで時間を費やしたツケがここで回ってきました。
目的地として考えていたカイザーヴィルヘルム教会へ行く時間がなくなってきたのです。
ガイドブックによれば、青のステンドグラスが実に美しい、とあります。
一目見たいじゃないですか。
いや、一目見るくらいの時間はあるかもしれないと、とりあえず向かうことにしました。
駅に到着したときに時計を見ると、ますます時間は微妙。
往復10分くらいで帰ってくれば、間に合いそう。
これは走るしかありません。
全力でダッシュして、到着すると、すぐに中へ。
が、青のステンドグラスがありません。
どこを、見回してもない。。。
あとで知ったことですが、青のステンドグラスは隣の新教会にあったようです。
が、このときはそれに気付かず、意気消沈。
それでも、美しいモザイクの天井画に満足して、すかさず駅へと再びダッシュ。
息を切らして電車に飛び乗り、ベルリン中央駅に着いたときには乗車予定の電車の発車時刻。
しかし、ドイツで定刻通りに列車が出ることなど、ほとんどありません。
再びダッシュして、出発ホームへ向かうと、ちゃんと列車はいました。
息を切らした様子に怪訝な視線を感じながら、かろうじて何食わぬ顔をしながら着席。
人生でもっともダッシュした瞬間だったかもしれません。
旅の計画に無理は禁物と、当たり前のことを学んだ旅でした。