******ブランデンブルク門******
大国の首都は面白くない、と勝手に思っていたのですが、ロンドンを見て認識が変わりました。
やはり、大国の首都というのは、その国の粋が結集されていて面白い。
とすれば、ヨーロッパ一の大国ドイツの首都ベルリンが面白くないはずがないじゃないですか。
前日26日にベルリン入りし、27日の朝から始動。
目指すはブランデンブルク門です。
門自体、歴史的価値のある門ですが、私がこの門を見て連想するのはベルリンの壁崩壊の瞬間です。
1989年11月9日、東ベルリン市民がこの門の近くにある検問所に殺到し、耐えきれなくなった警備員がついに国境を開放。
東西ベルリン市民は抱き合って喜びを分かち合い、市民の多くが壁の上に立ち、歓喜の声を上げたのが、まさにこの門の前。
決して越えられない壁の象徴だったベルリンの壁が崩れた瞬間でした。
幾度となくニュースでみた映像は、ここで起きた歴史的事件だったのです。
今は、門の前に何もありません。
ここに何もないということが、東西統一の象徴というわけです。
しばらく、そこに佇み、何もないことの感動を味わいました。
ところで、今、東ベルリンにいるのか、西ベルリンにいるのか、簡単に認識する手段があります。
信号機です。
右の可愛らしいマークの信号機があれば、それは東ベルリンの証。
東西統一後、信号機も西側に統一しようという動きがあったのですが、この可愛らしい信号機を残そう、という運動が
おきたおかげで、現在も残っているとか。今ではベルリンのマスコットのような存在になっています。
******ペルガモン博物館******
さて、ブランデンブルク門をすぎて、向かった先はドイツ連邦国会議事堂です。
ここで、見学の予約をしてから、次いで向かったのが
ペルガモン博物館。
実はこの博物館こそ、今回のベルリン訪問最大のターゲット。
世に名高いイシュタール門をこの目で見たかったのです。
やや心が折れそうになりながら、1時間半待ってようやく目にしたときは感動でした。
本当に素晴らしい。大英博物館にもこれほどのものはなかったように思います。
イシュタール門とは、かの古代大いに栄えたバビロニアにあった門。
バベルの塔によって、この王国を知っている人も多いでしょう。
バビロニアの存在は長く謎とされていましたが、ドイツの探検隊がついに遺跡を発掘。
その最大の成果が、この門の復元です。
写真からも、その大きさが分かるかと思いますが、実はこの門は前門。
主門はその約2倍あったというから、驚きです。
主門は博物館に収まりきれないので、復元を諦めたとか。
門の建造は紀元前575年。バビロニアが最も繁栄していた時期のものです。
この門の他に、空中庭園があり、実在が疑われていますが、バベルの塔もそびえ立っていたと思えば、
古代バビロニアがどれほど繁栄していたか。まさに空前の繁栄だったのでしょう。
それを思うと、この門を発見したとき、探検隊がどれほど興奮したことか、それも伺い知ることができる気がします。
まさに伝説の地バビロニアの存在を確信するには十分だったでしょう。
この博物館が誇るもう一つの巨大復元物が古代ギリシャ・ミレトスの市場の門。
これもまた非常に綺麗に復元されており、これもまた素晴らしい。
が、イシュタール門を見た直後にこれを見ると、どうしても見劣りする感は否めませんが。
もっとも、それはイシュタール門が素晴らしすぎるだけでしょう。
さて、3つ目のハイライトがゼウスの祭壇です。
この祭壇にある石の彫刻が芸術的価値が高いとされています。
確かに、浮き彫りの躍動感が素晴らしい。
描かれているのは、ギリシャ神話の一場面で、ゼウスやアテナ達神々と巨人族の戦いの様子です。
面白いことに、巨人族といってもそれの首領たるクロノスはゼウスの父親。
さらにいえば、クロノスも自分の父親を葬って君臨していたという経歴をもっています。
古代ギリシャでは、そういうことがよくあったのでしょうか。
ともあれ、ゼウスやアテナのほか、ポセイドンやアポロンなど、有名なギリシャの神々がいますので、
探してみるのも面白いです。
******壁博物館******
さて、ベルリンに来たからにはベルリンの壁に関するものを見ておきたい。
と思ってガイドブックを眺めていて、目に留まったのが
壁博物館。
文字が多かったのが残念ですが、それでも、幸運にして脱出に成功した逸話があったかと思えば、
不幸にして射殺されてしまった人の話など、何とも胸に詰まるような話がたくさんありました。
脱出する人の最大の命題は、いかにして家族と一緒に脱出するか、ということであったらしく、
展示してある話も、子供をトランクケースの中に入れて脱出したとか、そういう話が多かったです。
職場の同僚に、当時東ベルリンにいた人がいますが、脱出は片道切符。西へ脱出すると、東に残すことに
なる家族や親戚と二度と会えないことを意味するわけで、その決断は容易ではなかったと言っていたのを
思い出します。
今、この壁がないことの幸せを思わずにはいられません。
******ドイツ連邦国会議事堂******
さて、この日後半のハイライトが
ドイツ連邦国会議事堂です。
無料で入場できるのですが、人気の観光スポットになっており、整理券を確保する必要があります。
朝一番に訪れたのは、そのためで、さほど並ぶことなく整理券を確保できましたが、既に15時までは埋まっていて、
確保できたのは16時の整理券。どうやら、ほとんどの時間は前日までに埋まってしまうようです。
この建物の面白いところは、下半分は歴史を感じさせる重厚な建築なのに対し、上半分が
超モダンなガラス張りのドームになっていることです。
もちろん、建築当初からこうだったわけではなく、かつてナチスが共産主義者を陥れるために、ドームを爆破。
東西統一後に再建されることになり、モダンなドームに生まれ変わったというわけです。
さて、この国会議事堂は旧西ベルリンにありました。
それも、近くのブランデンブルク門にはベルリンの壁。
要は東西国境が近かったのです。
また、西ベルリンは周りを東ドイツに囲まれていたため、防衛的観点から西ドイツの首都はボンに定められました。
故に、この国会議事堂が使われることはなく、東西統一後、統一ドイツの首都がベルリンに戻って初めて
ようやく再建されたのです。
******カメレオン・ヴァリエテ******
ベルリンの夜といえば、クラシックにミュージカルと楽しみはいろいろありますが、この日選択したのは
ヴァリエテ。歌、踊り、マジック、アクロバットなど、いろんな出し物を
気軽に楽しめるドイツカルチャーの一つと、ものの本に書いてあり、興味をもちました。
ウェブで事前に予約をして向かったのが、カメレオン・ヴァリエテ。
ガイドブックにも載っているベルリンを代表するヴァリエテです。
ワインを飲みながら楽しめるというのがいいです(笑)
演目自体は、歌と曲芸が中心でした。
個人的には歌、踊り、マジックあたりを期待していたので、そのあたりはちょっと期待はずれですが、
まあワイン片手に気軽に楽しめるという点ではいいですね。
そして、ドイツ語が理解できなくても、十分楽しめるというのもいいです。
******アイスバイン******
さて、ベルリン名物といえば、なんといっても
アイスバイン。
要は豚足ですが、これを食べずには帰られない。
ヴァリエテの帰りにぶらっと寄った店にアイスバインがありました。
アイスバインを注文すると、店主が嬉しそうに、これは実に旨い!と。
そう?じゃあ、期待してるよ!、と。
確かになかなか旨かったですね。日本の豚足に比べるとあっさりしていましたが、口の中で
とろけるようなのは同じ。なかなかいけます。
ベルリンビールと一緒にいただきました。