ポーランド・アウシュヴィッツ(2015年3月14日)
******20世紀最悪の犯罪の跡******
ドイツ国外で必ず訪れたいと思っていた場所が、アウシュヴィッツ強制収容所跡でした。

同じタイミングでドイツにやってきた同期5人連れたってクラクフの空港に降り立ち、バスに乗ってクラクフ中央駅へと向かいました。

さて、ヨーロッパでは、一般的に切符に乗車時間を刻印する必要があります。 が、このときは何となく面倒な気がして、切符は買ったのに刻印をサボってしまいました。

ドイツ滞在中に検札で罰金を払った経験のある他の同期がきちんと刻印するのを見て、心配性だと笑っていたのです。 ある瞬間までは。。。

入口の門 ふと、気が付くと、目の前に人がいて、切符を見せろ、と。 日本人とみて、狙いを定めて我々のところへやってきたのです。 もうひとたまりもありません。

ユーロ換算で30ユーロほど。 高い勉強料でした。

さて、クラクフ市内からはバスでアウシュヴィッツに向かいました。 到着すると、我々を迎えたのが、有名なArbeit macht freiという文字が書かれた門。

労働により、自由になる、とドイツ語で書かれているわけですが、この門が死の入口でしかなかったことを思えば、趣味の悪い冗談にしか聞こえません。

アウシュヴィッツへ向かう子ども達 まさに人を殺すためだけに作られたといっていいこの収容所の存在そのものが許し難いことですが、最も凄惨な事実の一つが、犠牲者の多くが子ども達だということです。

パネルにはアウシュヴィッツに送り込まれた子ども達の写真が展示されています。背景を知らなければ、まるで遠足に来た子ども達と引率の先生のようです。

写真からは死を前にした深刻さは感じられません。 おそらくは、そんなことは知る由もなかったのでしょう。

が、ナチスは先生に子ども達をガス室まで引率させ、そのまま先生と生徒をクラス丸ごと殺していたと、説明がありました。

言葉を失うとはまさにこのことです。

アウシュヴィッツへ到着した列車 またナチスは人を効率よく運ぶためにわざわざ線路を敷いています。 人を如何に効率よく殺すか、ということしか考えていなかったわけです。

アウシュヴィッツに到着すると、働ける人とそうでない人とに選別され、労働力とみなされなかった人は問答無用でガス室へ送られたといいます。

そういう未来を感じさせない写真の風景が逆に胸を詰まらせます。

ところで、アウシュヴィッツにはいろいろな負の遺産がそのまま遺されています。

絞首台 有名な死の壁や、絞首台がそれです。 死の壁はそこで見せしめの銃殺をしていたとされる場所。

私の感想をいえば、絞首台のほうが生々しい。 何人もの人を一度に絞首台へ送り、刑の執行後は見せしめのために、一日中放置していたとか。

鉄棒のようにみえる絞首台は、そういう凄惨な光景を想像させるに十分です。

さて、いよいよ避けては通れない話題へと進まなければなりません。

ガス室 ガス室です。 アウシュヴィッツには、この悪名高い施設も保全されています。

部屋自体は何の変哲もない無機質な部屋でした。 まったくもって無実の人々を殺し続けたこの部屋は、今はただ静寂に包まれていました。

ところで、アウシュヴィッツで最も凄惨な展示について、ここまで敢えて触れずにきましたが、やはり触れないわけにはいかないでしょう。

アウシュヴィッツにはガス室で犠牲になった女性達の髪が保管されているのです。 おそらくは、ガス室に送り込む前に髪を刈ったのだと思いますが、いずれにしても、そんなものを保管しているナチスの神経はとても人のものとは思えません。

さらに信じがたいことに、その髪の毛でカーペットを作って、売っていたといいます。

他にも、幼い子ども達の靴もありました。 靴のサイズを見ると、まだ4, 5才くらいと思われるものがたくさん。 本当に胸が詰まります。

さらに義足の山も。 ナチスは罪のない人をただただ殺し続け、その上に、まるで何かの勲章のように、そういったものを集め続けたわけです。

ガス室横の火葬場 話をガス室へと戻しましょう。

ガス室の横には火葬場があります。 遺体を焼いたあと、すぐに遺灰を捨てられるよう、焼却炉からレールが敷かれていました。

この施設がいかに効率的に人を殺すかということしか考えていなかったかという証左がここにあります。

近代最大の犯罪とも言われるホロコースト。 その不幸な歴史から決して遠くない現代を生きる一人として、ここを訪れた意味は大きかったと思います。

ここを見ることはつらいですが、多くの人が知らなければならない歴史であり、事実であると、実感した旅でした。

ここからの帰りはバスは使わず、入口に待機していたワゴンの白タクと交渉。 クラクフまで片道350zlと明らかにぼったくりだったものの、雨が降っている中、待つ気力を失っていたこと、一緒に旅をしていた5人で割れば14ユーロほどという物価の違いに甘んじて、あっさり折れて乗ってしまいました。

だから、白タクをのさばらせてしまうのでしょうが、我々の需要に合致してしまったから仕方ありません。 が、おかげで超ご機嫌で、それはそれで面白かったです。 グイグイ攻めるのには閉口でしたが。。。

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