******社会福祉住宅******
日本で最もよく知られているドイツの観光街道といえば、
ロマンチック街道で間違いないでしょう。
そのハイライトの一つがアウクスブルクです。
ローマ皇帝アウグストゥスが建設したとされ、ドイツで最も古い都市の一つです。
アウグストゥスは、あのカエサルの後継者で、初代のローマ皇帝。
その皇帝によって建設されたアウクスブルクはなんと2000年の歴史があります。
当然ながら、都市の名前は皇帝アウグストゥスに因んでいます。
さて、到着したときには、既に昼時で、目に止まったレストランに入りました。
このあたりは料理もウェイトレスの衣装も、ザ・バイエルンという感じで、バイエルンに来たなあ、と感じさせます。
さて、2000年もの歴史を持つ都市ともなると、見所も盛りだくさんですが、その筆頭はなんと言っても、市庁舎でしょう。
Goldener Saal (黄金の間)が見事です。
入口でガイドブックを貸してくれるのですが、驚いたことに日本語がありました。
ロマンチック街道には日本人が多いと聞きますが、そのおかげということでしょうか。
それにしても、この市庁舎は豪華です。
アウクスブルクは神聖ローマ皇帝の直轄地である帝国自由都市の誇りを感じます。
これほどのものが、17世紀前半に建てられたというのは驚きです。
ついで、大聖堂へ。
これもまた歴史が古く、かなり立派です。
が、実は私がアウグスブルクにやってきた最大の目的は市庁舎でも大聖堂でもありません。
フッゲライという世界初の社会福祉住宅です。
アウグスブルクは豪商フッガー家の本拠地。
フッガー家は、皇帝を排出するハプスブルク家にすら金を貸していたという大商人。
どれほど強欲だったかと思えば、市民に格安の集合住宅を提供し、利益を社会に還元するという思想を持っていたというので、驚きです。
家賃は今でいうと、年間約1ユーロほどとか。
この家賃は今でも維持されていて、今も年間1ユーロの家賃で、住んでいる人がいるとか。
ちなみに、かの有名なモーツァルトは、アウクスブルクの出身で、彼の曾祖父がこのフッゲライの住人でした。
一軒、中を見学できるようになっています。
どれほど、侘しい住まいかと思えば、思いの外きちんとした住まいで、驚きました。
これが年間1ユーロとは驚きです。
展示されているのは、昔の住まいなので、今は更に改善されているに違いなく、観光客さえ来なければ、悪くない住まいにみえます。
ここに住むための唯一の義務は、フッガー家のために、神に祈りを捧げること。
敬虔なカトリック教徒であれば誰でも入居する権利があります。
フッゲライの建設は16世紀前半のこと。
日本では戦国時代が幕を開け、血みどろの争いを繰り広げている時期で、そんな時期に、これほど素晴らしい施設が作られたことに驚くしかありません。
さて、アウクスブルク最後に寄ったのが、シェッツラー宮殿です。
美術館になっているのですが、展示されている絵には目もくれず、祝祭の間 Festsaalへと急ぎました。
これが聞いていた通り、実に豪華で素晴らしい。
地球の歩き方で、星二つとは信じがたい。
アウクスブルクでここは必見だと思います。
想像以上に素晴らしかったアウクスブルクに後ろ髪を引かれる思いで、この日の宿泊先ミュンヘンへと急ぎました。